「痛みや不調の原因について」
現在、痛みや症状により生活が困難な方やストレスを感じている方たくさんいらっしゃいます。
そもそも痛みがなかなか良くならない、症状が軽くならない理由をご存知ですか?
捻挫や骨折、手術後の痛みなどは急性痛と呼ばれ局所的(ピンポイント)な痛みが多く、痛みの原因である怪我や病気が治ると急性痛も治まります。
この怪我や病気が治ったあとも続く痛み、数か月以上長引いている痛みのことを慢性痛と言います。
怪我をして急性痛を起こしそのまま痛みが長引いて慢性痛へ移行しケガや病気が治っても痛みが続くという方も多くいらっしゃいます。
そして痛みを感じるたびに嫌な気分になったり、ため息をつくようになったり、雰囲気が暗くなったりしますよね。
痛みを抱えている人って笑顔が少ないし、笑顔が曇っているような印象ないですか?
実は痛みを感じる際に、痛みを脳に伝える通り道に「内側脊髄視床路」というものがあります。
痛みを感じたところから脊髄を通って脳の中にある大脳辺縁系という部位を通過します。
ここは記憶や感情を司る部位で
「膝を怪我して自分だけ部活動の試合に出れなかった悔しい思いをした記憶」や
「家族と旅行に行って眺めのいい温泉でリラックスできて幸せを感じた幸福感の記憶」など、感情に結びついた記憶・思い出が保管されています。
そのため痛みと感情にはとても深い結びつきがあります。
また前頭前野と呼ばれる脳の前側の部分には外側前頭前野(認知・行動に関与)と内側前頭前野(感情に関与)があります。
慢性痛のように痛みが長く続いており、繰り返し痛みを脳に伝えていると外側前頭前野(認知・行動)が小さくなり、内側前頭前野(感情)が大きくなる傾向があります。
すると痛みを感じると感情・気持ちも沈み込んでしまい、外出や運動などの行動をしなくなってしまいます。
結構当てはまる人多いのではないでしょうか?
膝が痛い方に対して「ご飯食べに行こう」「買い物行くけど一緒に行く?」などと誘ったときに、「痛くなるからやめておく」「階段がきついから家に残る」と断りませんか?
それは痛みだけでなく痛みを感じた時の感情を思い出すからなのです。
怪我や手術をした時の痛みの強さは覚えていなくても、その時に痛みで眠れなくて辛かった感情や動かすと痛いという恐怖などの感情は根強く残ります。
これらのことから怪我や病気によって起こる急性痛とは違い、慢性痛の場合は感情や記憶が関わってきます。
では長引く痛みや不調が続く方は感情や記憶が関わっていると説明しました。
ではどう改善していけばいいのか?
一番簡単なのは“日記を始めてみること”です。
前述のとおり、慢性痛が長引くと内側前頭前野(感情)が大きくなり外側前頭前野(認知・行動)が小さくなりますと説明しました。
実は内側前頭前野と外側前頭前野はシーソーのような関係で、どちらかが大きくなるともう片方は小さくなる性質があります。
そのため外側前頭前野(認知・行動)を大きくさせると内側前頭前野(感情)の容量が小さくなり痛みについてくるネガティブな感情を軽減することができます。
ただしただ日記を書くだけでなく、「明確な目標を立てて、何をするか」を記していく。
例えば、「明日は休みだから30分くらい庭の草むしりをやってみよう」、「明日は30分くらいウォーキングしてみよう」など難しい目標ではなく、無理をしない範囲の簡単で小さな目標を日記に書いてみましょう。そしてそれを実行してみましょう。
必ず明日や明後日、週末など「未来のことを書くこと」を心がけましょう。
日記というとその日1日1日を振り返って書くことが多いと思います。
普通の日記ではそれもいいと思います。
ただし今回は慢性的な痛みを抱えている方の日記の書き方です。
普通の日記のように今日1日のことを振り返って書くことは“過去のこと”を書くことになります。そうなると今日の振り返りを書くときに、“昨日より楽だった”“昨日より痛かった”など過去と比べてしまいます。
明日や明後日に達成可能な小さな目標を毎日日記に記していくだけでも少しずつ痛みの感じ取りやすさが改善し、身体の痛みや不調が楽になっていきますので慢性的な痛みで悩まれている方はすぐに始めてください。
身体の中から状態を変えていき、痛みを感じている本質から変えていきます。日記を書くだけならお金も時間もかかりません。
まずは始めてみましょう。そして続けてみましょう。